【産科薬剤師が解説】葉酸のメリット3選 - 産科薬剤師の強化書

【産科薬剤師が解説】葉酸のメリット3選

ママ向けのくすりの話

そもそも葉酸って何?

葉酸とは…水溶性ビタミンビタミンB群の1つで、タンパク質やDNAの合成に必要なビタミン。

ビタミンB12とともに、赤血球を作ることにも関係しており、造血機能を担っています。

1日の葉酸摂取推奨量
  • 妊活中や妊娠初期:640µg
  • 妊娠中期と後期 :480µg
  • 18歳以上の一般人:240µg

葉酸のメリット3選

神経管閉鎖不全のリスク減少

神経管とは、赤ちゃんの脳や脊髄の元となる重要な器官で、妊娠6週目頃に作られます。この神経管が閉鎖されることによって、頭側は脳に、足側は脊髄になります。

その神経管の発達が障害されて、神経管がうまく閉じなくなったために起こる病気が神経管閉鎖不全です。神経管閉鎖不全の代表例である二分脊椎先進国の中での発生数が増加している国は…日本だけです。

葉酸をサプリメントなどによる1日400μgの摂取で神経閉鎖不全のリスクが減少することが分かっています。

自閉症のリスク減少

自閉スペクトラム症(ASD)は葉酸の摂取と関連があることが分かっています。

葉酸を妊娠中に摂取していた母親から産まれたお子さんはASDが有意に少ないです。

注意欠如・多動症(ADHD)と葉酸摂取の関連ははっきりとしていないのが現状です。

児の認知機能を促進

葉酸はお子さんの認知機能へも良い影響があることが知られています。

認知機能は母乳などとも関連があることが分かっています。

葉酸のデメリット

大量摂取はビタミンB12欠乏症の症状を隠してしまう可能性がありますが、葉酸は水溶性で過剰摂取分は尿中に排泄されると考えられます。一般的に1日5mgまでの投与による副作用は報告されていません。

また、妊娠中の葉酸摂取で、産まれてくる児の喘息やアレルギー疾患の発症との関連が以前は疑われていましたが…現在は葉酸の摂取と疾患の関連はエビデンスなしとされています!

葉酸摂取の開始時期

妊娠成立の1ヵ月以上前からの摂取を推奨!

妊娠6週ごろには神経管閉鎖が完了するため、それより前から葉酸の摂取を行うことが大切です!

妊娠が分かる時期は妊娠5週以降に相当するので、妊娠が分かってからでは間に合わないことも…

妊活中や妊娠中は通常の食事摂取だけでは葉酸は不足しているため、サプリメントなどで補う必要があります。

葉酸摂取の海外事情

日常的な食生活だけでは葉酸を十分摂取することは難しいです。

海外での葉酸摂取の現状はどうなのかな?

・アメリカカナダ

1998年頃から小麦やパスタに葉酸の添加を義務づけています。カナダでは葉酸添加前(1993年~2001年の平均)と葉酸添加後(2002)では、葉酸添加後の方が神経管閉鎖不全が半減したとの報告があります。

・オーストラリア

穀物への葉酸添加量は100gあたり葉酸280μgとしています。他国は100gあたり葉酸140μgが多い。

・中国

穀物への葉酸添加は行っていないが、低所得者世帯には葉酸のサプリメントの無料配布を行っています。

その他82か国で、穀物などの主食へ葉酸添加が取り組まれています。

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